「………やっぱり、ここにいたのね」 その女性――ロウェナ・レイブンクローの涼しげな目元に悲しみの色が加わる。 「――ゴドリック」 夕日の色のような金髪をした彼が、ゆっくりと顔を上げた。 Because the world is... 「――ロウェナ」 ゴドリックは大樹に背をもたれさせて座っていた。 何時も彼に染み付いて離れなかった明るさが今はない。 空を切り取ったような青い瞳にも、いまは後悔の念しかない。 「ヘルガも探しているわ。戻りましょう」 「――悪いけど、一人になりたいから。ヘルガには心配ないって伝えて」 「………そう」 ロウェナはそういってゴドリックより少し離れた場所に座った。 「ロウェナ」 「わたしは、ここにいたいからいるだけよ」 それに、とロウェナは続ける。 「今のままじゃあなたずっとここに座って――そして、後悔しつづけるのでしょう?」 「…………」 昨日、サラザール・スリザリンがここから去った。 サラザールとゴドリックは今まで見た事もないような激しい言い争いをした。考え方が異なった故に。 「あなたたちって、ほんと不器用だわ。喧嘩したらここにこないと仲直りしなかったんだから」 ――何時も。 考え方の違い故に。――親友故に、サラザールとゴドリックはたびたび言い争いをした。 そしたら何時もここにきて。この大樹をはさんで背中合わせになり座って。そうしていつのまにか仲直りしていたのだけれど。 「――ゴドリック………待ってるの?」 サラザールを。 ここを去り、二度と戻る事のない彼を。 「今日の君は、よく喋るね」 「あなたの気分が落ちこんでるから、そう思うのよ」 「よくわかるね」 「もう何年も一緒にいたからね」 ゴドリックは空を見上げる。 横顔は、相変わらず哀しそうだ。 「――もしかしたら、サラザールが戻ってくるんじゃないかって。そう思ってしまうんだ」 向こうから歩いてきて、そしてまたあの微かな笑みを、見せてくれるんじゃないかって。 「思ってしまうんだ………」 サラザールはマグルの血を厭い、魔法族以外の者がホグワーツに入学するのを嫌った。 ゴドリックはマグルだろうが純血だろうが素質のある者にはホグワーツへの入学を許した。 何時ものように、どうでもいいような喧嘩ではなかった。 互いの信念を賭けたものだった。 「サラザールは戻ってこないわ――彼は、ここを去ったのだから。二度と戻らぬとそう誓ったのだから」 「僕が――僕が壊してしまったんだ。楽しかった日々を」 「私とヘルガがいても、あなたは満たされぬのでしょう」 もう、4人にはなれないから。 サラザールのいない事実を埋めることは、誰にもできない。 「大切だったんだ。サラザールも………僕の信念も。譲ることはできなかった」 「でも、後悔してるのよね。自分があんなこと言わなければって」 ゴドリックは静かに眼を伏せた。 思い出されるのは、昨日までの、楽しかった――サラザールがいた日々。 失いたくない、人だったのに。 「でもね、ゴドリック。自分の信念を、曲げてはいけないのよ」 「わかってるよロウェナ――。すべて」 サラザールが戻ってこないことも。 自分の信念が曲げられないことも。 「それでも。考えてしまう。もしもあの時――って」 「後悔するのはサラザールにとっても失礼じゃないかしら」 ゴドリックはロウェナを見る。 ロウェナは静かな瞳でまっすぐ前を見つめていた。 「譲れないのでしょう?サラザールにとってもそうだったでしょう。彼は覚悟を決めてここを去ったの。自分の信念と共に。なのにあなたがそう愚痴愚痴後悔してたら――彼の思いは、どうなるの」 「ロウェナ――」 「あなたは自分の信念を曲げるの?――サラザールに戻って欲しいからって」 ロウェナは立ちあがり、服についた土を払う。 「サラザールにはサラザールの道。わたしたちにはわたしたちの道。未来があるのよ。だから、進んで行こう」 そういってロウェナはゴドリックに手を差し伸べた。 肩口からさらりと銀髪が滑り落ちる。 「こんなところで、立ち止まっていずに。――行きましょう。ヘルガも待ってるわ」 「――本当に今日の君は、よく喋るね」 ゴドリックは苦笑してロウェナの手を取った。 道が目の前に広がっている。 そのなかの一つを、彼も自分も選んだに過ぎない。 道を別にした友のことは決して忘れない。 そして自分は自分の道を行く。 この道の先に果てることのない未来が待っているのだから。 「行こう」 世界はまだまだ、広いのだから。 おまけ。 「ところでこの手は何時になったら離してくれるのかしら?」 ロウェナは苛立ちを含んだ声で言った。 「だってロウェナから手をつなごうとしてくれるのなんて初めてだし。離したくないんだ」 「―――………」 ロウェナはため息をついた。 ゴドリックが自分を追い掛け回して追い掛け回して強引な展開に持っていくのはいつものことだけれど。 「はなして、ゴドリック」 「何時ものクールな君も良いけど、今日みたいな積極的な君も良いねv」 「……もういいわ、ゴドリック」 ロウェナはもう一方の手で頭を抑えため息を吐いた。 握り合ったその手を解くことはしなかった。 コメント〜☆レッツ妄想文☆〜 初代の小説は初めてです。 オリジナル設定(って言うか妄想)入りまくり。 サラザールが去ったあとのゴドリックってどんな感じだったのかな、と思って書いたのがこれです。 実はこれ、期末テストを受けている真っ最中に思いついたネタなんですよね。(←テスト真面目にやれよ) ここからさきはイッツ妄想文。 きっとゴドリックにとってもサラザールにとっても互いに失いたくない存在だったんだと思うんですよ。 親友で、大切な存在。(友情の範囲です。決してや○いまでは行きません) それゆえに、譲ることもできなくて。 ゴドリックは落ちこんじゃってロウェナがそれを優しく包んであげる。 優しく、っていっても甘やかすのではなくて道を示してあげる、手を差し伸べる、と言う感じで。 それを表したかったのがこの小説です。 この小説はややゴドリックvロウェナ風味です。 この二人だとゴドリックがロウェナを追い掛け回してロウェナはそれをクールにかわす。 でもロウェナはそんなに悪い気はしない。(ああ、妄想……) おまけとかがわたしの妄想がかたちになった部分です(笑) 初代の小説を書くのは初めて、ということもありましたが、けっこう楽しんで書けました。妄想の赴くままに。 だから文がまとまってなかったりするんですけどね。最後の終りも微妙だし。 でも、これからも書いていきたいです。初代愛ですし。 これからもっと腕を磨いていい文を書けるようにがんばります。 |
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