ハッピー ハロウィン ハプニング
第3章
〜闇に打ち勝つ力〜
グリフィンドールは久しぶりのお酒を楽しみながら、私たちにいろいろな話をしてくれた。それはとても興味深く、ビンズ先生の変わりに教鞭を振るってほしいと思ったくらいだよ・・・おっと、これは大人気ない発言だったかな。とにかく、先生はとても気さくで楽しい人だったんだ。
グリフィンドールは私たち生徒にも、山ほどの質問を浴びせた。だが、それは全然、不快なものではなかった。
先生がとても愉快そうに聞いてくれるので、皆も夢中になって彼の質問に答えたんだ。
「先生方がこの学校を創った時の事を聞かせていただけませんか?」
ジェームズが言った。
「そうだな・・・そうだ、いい方法がある!」
グリフィンドールが叫んだ。
「みんな聞いてくれ!今から君たちに、千年前ホグワーツが誕生するところを見せてあげよう!」
先生は少年のように目を輝かせてそう言った。
この後彼がどういう方法をとったのか、ここで私が書くのはやめておくよ。ハリー、いつか君たちが直接グリフィンドールに教えてもらうといい。
ただ、すばらしい体験だったとだけ書いておくよ。
さて、話を戻そう。
その後も、私たちは学校の話をしたり、ゾンゴのいたずらグッズや、ハニーデュークスの「特殊効果菓子」などを先生に紹介したり、現在のクィディッチの話でも花をさかせた。
「我々の魔法力も、この千年の間にずいぶんと進化、発展を遂げたようだね。実に嬉しいことだよ!」
先生は満足そうに微笑んでいた。彼はずいぶんウィスキーを飲んだはずなのに、酔っている様子が全くなかった。
「あの、先生は生前、どの学科を教えていらっしゃったのですか?」
リリーが彼に尋ねた。
「私が担当していた魔法学は、2つあった。1つは変身術だ。これは私がもっとも得意としていた魔法なんだよ。そーら!」
先生がマントルピースの上の時計に向かって杖を振ると、たちまちそれは黄金色のライオンに変わった。
ライオンは勇ましい吼え声とともに、私たちの頭上を駆け巡った。そしてグリフィンドールが口笛で呼ぶと、素早く降りてきて彼の膝の上に飛び乗った。
「よしよし、いい子だ!」
先生に頭を撫でられると、ライオンは子猫のようにおとなしくなり、彼の腕にじゃれ始めた。
「さあ、もとの姿におもどり!」
先生が再び杖を一振りすると、ライオンは暖炉の上まで走っていき、元の時計に戻った。
私たち寮生は、もう一度彼に惜しみない拍手を送った。
「ありがとう皆。変身術は大変役に立つ魔法だ。君たちにも是非より多くの術の習得に励んでもらいたいものだ。
そしてもう一つ、私が力を注いでいた学科は、闇の魔術に対する防衛術だ」
先生が最後の言葉に力を込めると、部屋の中がしんと静まり返った。
「今の魔法界を脅かしている闇の勢力のことは、私も聞き知っているつもりだ・・・」
陽気だったグリフィンドールの顔が、急にくもった。
「これからその脅威の中へ巣立っていく君たちにとっては、この学科は特に軽視できない勉強と言えるだろう。
もちろん他の授業も、大事なものばかりだよ。魔法薬学、薬草学、呪文の勉強、飛行訓練・・・すべてが闇の力から身を守るカギとなりえるのだ。それを忘れてはいけない」
私たちは彼の言葉に、神妙な気持ちで頷かざるを得なかった。
「あの、先生・・・おかしな質問かもしれませんが・・・よろしいですか?」
「なんだい、リリー?」
「なぜ『例のあの人』は闇の魔術で世界を支配しようなどと考えたのでしょうか?」
リリーが恐る恐る訪ねると、先生は少し驚いたような顔をして、それから微笑した。
「おかしな質問などではないよ、リリー。決してね。なぜ彼が闇の魔術に手を染めたのか・・・残念ながら、私はその理由を知っているわけではない。しかし・・・」
「私の生きていた時代にも、闇の力に魅せられてしまった魔女や魔法使いがいた。彼らがそうなった理由なら、私にも想像はつく」
「あの時代において私たち魔法界の人間は、偏見で凝り固まったマグルたちによって、不等に虐げられていた。
彼らを始めに闇の力へと駆り立てたもの・・・それは怒り、憎しみ、恐怖心だったと、私は思う。そして彼らは、自分たちを苦しめた人間たちに復讐するため、闇の魔術を使ったのだ」
「あの・・その場合は、闇の力に頼っても仕方がなかったんじゃないの?だって抵抗しなくちゃ、魔法使いたちがやられちゃうかもしれなかったんでしょ?」
今度はピーターが、オドオドしながらつぶやいた。
「それは違うよ、ピーター。もちろん私たちには、自分たちの幸せを守る権利があった。しかしその方法に、闇の魔術を選ぶべきではなかったんだよ・・・
なぜなら闇の力によって、私たちが真の自由と幸せを得ることはないからだ。
それに、マグルと戦わずに自分たちを守る方法は、他にいくらでもあったんだ。それらを教えるために、私たちはこの学校を創ったのだよ」
「にもかかわらず、いつの時代にもそれを理解できない者が現れ続けた。残念ながら、学校の勉強だけでは教えられないこともあるんだ」
「教えてください先生。それは何なんですか?」
ジェームズが怒りを込めた口調で尋ねた。
「ボルデモートは、ある意味では、有能な魔法使いだ。おそらく彼も、学生時代には優等生で通っていたことだろう。
私に言えることは、闇の力に走った者たちは、本当の苦しみを知らない人間か、本当の幸せを知らない人間か、そのどちらかだという事だよ」
グリフィンドールは、ジェームズの肩に手をおいて言った。
「ここにいる君たちは、その両方を理解できる素質を持っている。だから、きっと闇の力に抵抗できるはずだ。私はそう信じているよ」
先生の言葉には深い愛情がこもっていた。
〜 第4章へつづく 〜
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